『VERY HAPPY』 〜PRGR〜

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『VERY HAPPY』 〜PRGR〜

その昔、仕事界隈で「ゴルフ上手いんですよね?」という質問をよく受けていた。
独立する前の会社で、約11年間ゴルフブランドの仕事に携わっていたからだ。

PRGR(プロギア)は1983年にタイヤメーカーの横浜ゴムが新事業として立ち上げたゴルフブランド。創業当時、日本はAON(青木功・尾崎将司・中嶋常幸)らの活躍などで空前のゴルフブームになっていたが、ゴルフ用品市場は日米の大手スポーツ用品メーカーが熾烈な競争を繰り広げており、新規参入には大きな壁があった。

後発メーカーとして明確な特色が必要と考えたPRGRは、今やクラブ選びの基準となっている「ヘッドスピード理論」という科学に基づいたゴルフクラブ作りを提唱。以来、番手ごとに設計を変えたアイアン、打ちやすい長尺ドライバー、やさしく打てるロングアイアンなど、業界の常識を覆す数々のヒット商品を世に送り出してきた。

その斬新な発想や新しい視点の開発姿勢は、そのままコミュニケーションにも受け継がれていた。師である宮田識さんや東倉田長さんが築き上げてきたPRGRの独創的な世界観は、これまでのゴルフ表現の枠を超え、新しいブランディングデザインとして多方面から注目を浴び、憧れの対象だった。

縁があってPRGRのクリエイティブに参加することになったが、デザイナー、アートディレクターとしての素地を作ってくれたのはこの仕事だ。
それは新しいか?強いか?PRGRらしいのか?中途半端な表現はすべてNGをくらう修行のような日々だったが、チャレンジャブルな表現を追求する環境は、今から思えば幸せな学校だったと思う。

このコラムは基本独立以降の仕事をテーマにしてきたが、今回は違う。2021年マスターズ・トーナメントで、松山英樹選手が見事優勝を果たしたからだ。
PRGRに携わりゴルフが身近にあった者として、苦闘の末に掴んだグリーンジャケットを羽織る姿は涙無くして見れず、そして、書かずにはいられなかった。

ゴルフは気心知れた仲間達と年に数回ラウンドする。クラブはもちろんPRGRだ。
スコアは始めた頃とそんなに変わらない。観戦するほうが向いているらしい。
松山選手がいるから、それで十分だ。

ゴルフの幸せをテーマにしたポスター。懐かしのコーリー・ペイビンとブライアン・ワッツ。フロリダにて撮影。 Photographs by Mikio Hasui

かっ飛びユーティリティアイアン「ZOOM」のローンチ広告。インパクトの瞬間の表情でそのポテンシャルを表現。 Photographs by Mikio Hasui

  • 「ZOOM c」ローンチ広告。全英オープンが開催された、ロイヤル・バークデールG.C.で撮影。
    Photographs by Mikiya Takimoto

  • 撮影クルーと記念撮影。

  • フェアウェイウッド「ZOOM f」のローンチ広告。そのデビューをUFOが降臨するイメージで。
    日本最北端の稚内カントリークラブで撮影。 Photographs by Hatsuhiko Okada

  • 新ボール「H/S」の新登場広告。誰も見たことがないバンカーに落ちた瞬間で爆発的デビュー感を演出。
    8×10の一発撮影。Photographs by Kaz Koyama

簡単に飛ばせるドライバー「銀チタン」のローンチ広告。豆粒のようなゴルファーでその飛びを表現。
アメリカ内陸をキャラバンしてひたすら広大なロケーションを探し求めた。
Photographs by Yukihiko Uda

新聞広告の「技術広告シリーズ」。科学と技術に裏打ちされた性能を分解図的に訴求。
写真家にはドイツ工業写真風のテイストを求めた。
Photographs by Mikio Hasui

PRGRで制作したカタログ類は膨大な数にのぼる。自分のデザインの基礎はここにある。

CD/Satoru Miyata
AD/Eiki Hidaka
D/Mitsuhiro Tomita, Ryusuke Tanaka, Manabu Mizuno
C/Taosa Tohkura, Yoshinari Nishimura